なべて余はこともなし

昨夜、私は4キロ半のマシュマロを食べる夢を見たのだが、目を覚ましたら、枕がなかった。(トミー・クーパー)

選手として、選手会長として

今日で日米野球も終わり、ベースボールの季節は幕を閉じます。これから約半年間、ちょっと淋しくなります。

振り返れば、てんやわんやの一年でした。日本プロ野球存亡の危機だったと言っても、過言ではありません。その渦中で現行の十二球団・二リーグ制を守るべく、誰よりも奮闘した人がいました。われらがヤクルト・スワローズの敦ちゃんです。

ご存知のように、プロ野球選手会長である敦ちゃんは、スト敢行という前代未聞の決断をしました。全国のファンの娯楽と夢を奪う選択です。TVカメラの前でファンにその旨を告げて詫びる言葉は、いつしか嗚咽になりました。

でも、敦ちゃんがすごいのはこの後でした。難航する労使交渉で身も心もくたくたのはずなのに、チームの中心打者でもある敦ちゃんは、押っ取り刀ならぬ押っ取りバットで球場に駆けつけ、代打でヒットをかっ飛ばしました。この報を聞いたとき、僕はそのプロ魂に感動して、正確に27分27秒、涙が止まりませんでした。

もはや、新人の頃に言われた「キャッチャーマスクをかぶったノビ太君」の面影はありません。一流の野球選手という平凡な存在でもありません。ただ一言、「男の中の男」です。ことここに及べば、奥さんの中井美穂さんへの嫉妬を禁じえません。

打率.306 本塁打24 打点79 

騒動の前までは首位打者争いをしていましたが、さすがに最後は息切れしてしまいました。でも、文句のつけようのない立派な数字です。優勝捕手の谷繁さんを差し置いて、ゴールデングラブ賞も獲得しました。

野球評論家の宮本和友さんは、これは野球界のホームベースを死守したことが評価されての受賞だと、ちょっとうまいことを言ってましたが、そんなんじゃ物足りません。賛同してくれる方も多いと思いますが、僕個人としては断然MVPです。明日、授与してきます。本人がいらないと言っても、暴力的に押しつけてくる所存です。

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古田敦也、三十九歳、ヤクルト・スワローズ、捕手、背番号27。

来季は、いよいよ二千本安打です。捕手としては、恩師の野村監督に次ぐ二人目の偉業です。栄光の瞬間は絶対に生で見て、この目に焼き付けてこようと思っています。