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なべて余はこともなし

昨夜、私は4キロ半のマシュマロを食べる夢を見たのだが、目を覚ましたら、枕がなかった。(トミー・クーパー)

聖バレンタインに呪われた彼の話

日記

何だ、このシ~ンとした反応は。あまりにも痛ましくて、お悔やみの言葉も見つからないということか。最近は、このヘっぽこブログにも毎日70から100ぐらいのアクセスがあるというのに。

つい調子に乗って11、2センチなんて書いてしまったのがいけなかったのか。昨日、改めて測ってみた。彼の身長は12、3だった。これが正しい数字だ、神かけて誓う・・・いや神はかけない。嘘だからじゃない。その時々の体調や天候や対戦相手によって微妙に変化するものだからだ。

こっそり書き変えようかとも思った。でも、もしそんなことをして目ざとい読者に見つかったりしたら、あ、こいつ恥ずかしくなって書き変えたなとか、大小にこだわる肝っ玉の小さい奴だなとか思われて、ますます11、2の信憑性が高まってしまう。かと言って、天下の公器であるブログに11、2という偽りの数字を定着させていいものか。

そのくせ、誰もがミネヨシ君の「とぐろ」は、はなから冗談だと思って信じない。でも11、2はそのまま信じる。世間とはかくも勝手なものなのだ。俺としたことが墓穴を掘ってしまった。下手なことは書くものではない。でも書いてしまったものは仕方がない。乗りかかった船だ。続きも書く。後は野となれ、山となれ。

確かに、大きくはない。それは認める。冬場の寒いときは縮こまって、皮の中にすっぽり本体が収まる。でも、見た目はかわいい。持ち運びも便利だ。毛がはさまると痛いのが難点だが。

宗旨変えしてからずっと後の話だが、こんなこともあった。

いわゆる最後はダメよという店でのこと。でも、OKな子もいるらしい。そんな噂を小耳に挟んでいた。当然、お願いする。ところがNGだと言う。話が違う。食い下がる。

「お願い、先っぽだけでも」

余程しつこかったのか、相手の娘も切れた。

「あなたのは、先っぽで全部でしょ!」

・・・人生で二度目の絶望を味わった。

問題は何故、彼が人並みの成長を遂げてくれなかったかということだ。

嘘か真かは知らない。だが、一人遊びを覚えるのが遅かった男は小さいという話を聞いたことがある。発達の障害になる皮の中から早めに出してあげて、のびのびと運動をさせなければいけない。確かに、個体の成長に栄養と睡眠と運動は欠かせない。その運動を開始したのが人より遅かった。高校ニ年になるまで、俺は人生に目覚めなかった。

そっち方面に関しては、非常に奥手だった。「男子と女子が交際するなんて不潔だと思います!」という学級委員長的思想の持ち主だったわけじゃない。それどころか一介のチャボの飼育係に過ぎない。「軟弱な女の子なんかとチャラチャラしてる暇はないぜ!」とかいう硬派を気取っていたわけでもない。確かに男女交際なんてもっての外という風潮がまだあった時代だが、所詮はただのウブな子供だったのだと思う。さすがにサンタクロースの存在は信じていなかったが、男子と女子が一緒にプールに入ると子供ができる可能性があるという、まことしやかに流れていた噂には恐れおののいた記憶がある。

暴力とエロスの絶えない東映ヤクザ映画のような家庭環境に育ったという事情も影響しているのかもしれない。酒色に溺れる父は毎日のように母を泣かせていた。あんな大人にはなってはいけない。子供心に品行方正を人生の目標にせざるをえなかった。

家の話はここでやめる。都会派的な洒脱を身上とするこのブログが自然主義文学になりかねない。だが、そういう潔癖な子供が2月14日にチョコレートをもらった場合にどんな反応をするか。それだけはある種の思いを込めて書いておく。

中学一年の時、俺は生まれて初めて二人の女の子からチョコレートをもらった。もちろん、その意味するところは知っていた。だが、上記のような環境で育った男の子が出す結論は決まっている。「そんなもの、もらう筋合いはない」

美形のヤマダさんからのは、ドブに捨てた。さすがに、食べ物を粗末にするのは良くないと思ったのか、ちんちくりんのタカマツさんからのは、本人に直接突き返した。ちんちくりんはキョトンとしたと思ったら、わっと泣き出して走り去った。漫画みたいに大袈裟な感情表現をする奴だと訝った翌日、俺はちんちくりんの友達から吊るし上げを食らった。

こんな悪魔のような所業を働いた男のその後はどうなるか。甘いチョコレートとは無縁の人生が待ち受けていたのは言うまでもない。

後年、ヤマダさんとはひょんな縁で合コンで再会した。彼女はどんな思いだったのか。びっくりして舞い上がった俺は一言謝るどころか、幹事の身でありながら酔いつぶれて、コンパを台無しにしただけだった。

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夜のしじまに白い雪が降る。今日はホワイト・バレンタインになった。雪の中をコンビニまで歩く。せめて二度と転ばないよう足元だけは気をつけよう。多かれ少なかれ誰もがそうだと思うが、人間すくすくと真っ直ぐに成長することはできない。だから、11、2センチ。ヤマダさんとタカマツさん、だいぶ遅くなったけど・・・ごめんなさい。