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なべて余はこともなし

昨夜、私は4キロ半のマシュマロを食べる夢を見たのだが、目を覚ましたら、枕がなかった。(トミー・クーパー)

さらば夏の光よ

日記

こんなはずはない。どう考えてもおかしい。あの時は酔っ払ってやったから入力ミスもあったかもしれない。きっとそうだ。そうに決まっている。というわけで体調を万全に整え、しらふの頭でもういちど挑戦してみたのが、「まりあ課長のオフタイム」のまりあ様が紹介していた「あなたのモテ度を採点します」。

■ 採点結果 ■

kenさんのモテ度は32点です。ランクはDです。(最高:A~最低:E)
偏差値は28.7 日本人男性の中で6261万8759位です。
今、 kenさんとおつきあいしたいと思っている人が0人います。

前回よりも点数が落ちた・・・

性格:D 
残念ながら少し性格が悪い部類に入ります。性格が悪いとその人の全体的な印象が下がります。あなたに目を見張るような外見的特徴や特技があっても、誰かがあなたのことを語るとき「...でも性格悪いよね」で終わってしまいます。とりあえず一週間南の島に行って心を洗濯してきましょう。

・・・南の島じゃなきゃいかんのか、心の洗濯。

容姿:E
残念ながらあなたの容姿はあまりよろしくないようです。けど、容姿なんてただの一要素。重要なのは中身。あなた自身です。容姿のことは忘れましょう。自分が自信をもってプレゼンテーションできるところを見つけて下さい。

・・・俺は忘れても、相手が忘れてくれないんじゃないかよ~。

会話:D
残念ながらあなたの話はあまり面白くないようです。ギャグがはずれることも少なくないでしょう。とりあえずラジオの「オールナイトニッポン」を聞いてしゃべりを研究しましょう。

・・・聞いてたよ~、オールナイト。所さんのオールナイトなんか大好きだったし、ちょうどラジオの深夜放送がブームの頃だったし~。

雰囲気:E
負のオーラがあなたを包み込んでいます。せめてもう少し近寄りやすい雰囲気作りに力を注いでください。これではモテたとしてもかなりの変人に限られてくるでしょう。自分の世界に引きこもらず、相手に好印象を与えるよう努力してください。

・・・負のオーラって^^;

恋愛運:E
かなり運が悪いです。これはちょっと見過ごせません。この人しかない!って思うような人と会ったその日にたまたまニンニンクたっぷりのラーメン食べてたとか。これでは幸せな結末はなかなかやって来なそうです。

・・・恋愛運か。こいつは悪いと思う。

目をつぶれば・・・あれは遠い、遠い夏の日のこと。

一浪中だった俺は某Yゼミの夏期講習に通っていた。そして同じクラスにとても可愛い子を見つけたんだ。さすがにもう良くは覚えていないけど、色黒の木之内みどりってな感じだったかな。声をかけてみたいと思ったけど、何しろおたがい受験生の身の上、みどりちゃんの勉強している表情も真剣そのものだったから躊躇したんだ。

で、ある日、もう授業が始まってるのに彼女の姿がない。今日はお休みなのかな・・・とちょっとがっかりしていると、みどりちゃん、息を切らした様子で現れた。そして彼女、あろうことか、あのでかい教室の中で、たまたま空いていた俺の隣の席に座ったんだ!

えええっ!これって神様の思し召し?運命の出会いってやつ?赤い糸伝説ってやつ?

ドキドキ、バクバクと動揺するこちらの胸の内も知らずに、彼女は授業の聞き逃した部分を取り戻そうとやっぱり真剣な面持ちで講師と黒板を見つめている。その横顔がこれまたりりしくて美しい。こいつは絶対に声をかけなくちゃいけない。でも何て言おう。きっかけが大事だ。やっぱり勉強に関する質問みたいな形が自然かなぁ・・・と頭の中であの手この手をこねくり回してると、みどりちゃん、机の上に置いていたハンカチを落とした。しかも彼女は気付いてない!

えええっ!神様、ここまでやってくれるの?ここまでお膳立てしてくれるの?二人の赤い糸を、神様は固結びで結んだんだ!・・・そして、講義が終わった。

「あの、これ、あなたのハンカチでしょ。落ちてましたよ」
「あら、そうです。どうもありがとう。これ、亡くなった母の大事な形見なんです。なくさないで良かったわ。優しいお方」
「いえ、お安い御用です」
「よろしかったら、帰りにお茶でもいかがですか。お礼のしるしに」
「受験生のライバルたちに遅れをとっても構わないんですか?」
「時には息抜きも必要ですわ」
「そうですね。では、喫茶ルノアールにでも」

ところ変わって・・・

「ご注文はお決まりですか」
「ええ、プリンアラモードを」
「僕はブルマンを。ブラックで」

「夏ですね」
「夏ですね」
「暑いですね」
「暑いですね」
(カッコつけて、このクソ暑い日にホットなんか頼んじまった・・・)

まるで小津映画みたいなやりとりだが、みどりちゃんとの初めての差し向かい。緊張のあまりまともに喋れない。でも、初めてのデートはそういうもの。甘酸っぱい時間だけが流れる。初々しくて微笑ましい。

「あら、汗が。どうぞ、これ」
「いいんですか、お母さんの大事な形見」
「ええ、どうぞ」

みどりちゃんは俺を、俺の汗までも、恐らくは初デートの緊張に由来する冷や汗さえも、さわやかな高校球児の汗のようなものとして、すでに受け入れている!伝説は事実だったんだ!赤い糸伝説は本当だったんだ。神様、ありがとう!(注:この日、喫茶ルノアールはおしぼりを切らしています)

・・・と、予定ではこうなるはずだった。それが紛れもないkenとみどりちゃんの運命のはずだった。

ところが実際は、講義が終わって・・・

「あの、これ、あなたのハンカチでしょ。落ちてましたよ」。「え?」と、みどりちゃん、ポカンとした表情。しばらくして事情を呑み込んだのか、「ありがとうございます」とにっこり微笑んだ。その笑顔のかわいらしさと言ったら!

俺はその笑顔の輝きに打たれたかのように、打ちのめされたかのように、固まってしまった。二の句が継げなかった。あわわ・・・これじゃ駄目だ、声をかけなきゃと心の中で焦りにあせったものの、その時すでに彼女は机の上に広げたテキストやノートという別世界の住人になっていた。

この日だったか、あるいは夏期講習の最終日だったか、ストーカーよろしく予備校から駅までみどりちゃんの後をつけたこともある。彼女は俺とは反対方向に向かう電車のホームに上がった。

ただ度胸がなかっただけかもしれない。でも高3の時は出席日数ぎりぎり、通信簿には赤い数字もあった。そんな落第生の分際のくせに、俺は担任に某W大に入ってやると啖呵を切った。だから、恋にうつつを抜かしてる場合じゃないという思いもあったかもしれない。今となっては定かじゃない。で、結局、俺はみどりちゃんのホームに立ちはしたが、「電車男」にはなれなかった。みどりちゃんが乗った電車に足を、その一歩を踏み入れることはなかった。

kenさんのための恋愛ワンポイントアドバイ

7つの要素の中では「お金」が最も良くて、「恋愛運」が最も悪いようです。こればかりはどうしようもありませんが、ひとつだけ強力で確実な方法があります。それは「数打ちゃ当たる」方式を使うことです。30%の運しか無くても3倍アタックすれば80%の人にもゆうゆう勝てます。だって他の要素はいいんですから。これでダメなら、まあせっかくなので神社にお参りしに行くのもいいと思います。そこで巫女さんと素敵な出会いがあるかもしれません。

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遠い、遠い夏の日の、一瞬の恋。

あの時に、俺は、俺が持っていた恋愛運のすべてを使い果たしただろう。
神様の命令にそむいた人生。運命に逆らった人生。
だから、巫女さんとの素敵な出会いなど、あろうはずもなく。

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